モノバンドEFHWアンテナのすゝめ
インピーダンス変換トランスを使ったEFHWアンテナは整数倍の周波数も乗るので3.5MHz用のエレメント(1/2λ)を使うと一応HF全バンドでSWRが下がる・・・と言われているが、実際はバンドによってSWRが違いアンテナチューナー必須の面倒くさいアンテナ程度に思っていたほうが良い。1本のアンテナで多バンドにQRV出来るのには意味があるが全バンドでSWRを下げようとすると泥沼にはまる。移動運用時には重宝するアンテナなのだろうが。
私としては固定用として限りなくSWR1.0を目指したい。(チューナーは使いたくない) DXへの飛びも考えて低い打上角にもしたい。幸い設置スペースはなんとかなる。そこでエレメントの端で給電する半波長ダイポールと割り切ってモノバンドで作製。低い打上角を期待して物理的に自立で作製出来る18MHz~28MHzは垂直で、波長の長い10MHzは水平で作製した。
24MHzと28MHzのエレメントは15mmのアルミパイプで作製。18MHz、21MHzはグラスファイバーの釣り竿にエレメントを巻き付けてヘリカル構造とした。
最も重要なインピーダンス変換トランスのデータはこんな感じ。コアはFT240#43を使うのが一般的なようだが、私はFair-Rite – 2643251002を使っている。
補正コンデンサはバリコンで最良点を探しその容量に近い固定コンデンサを取り付けた。エレメントが太いとインピーダンスが低くなると言われているが、確かにそうなっている。高い周波数は補正コンデンサが必須だが、10MHzではコンデンサ無しの時の特性が一番良かった。
トランスは当初1次線と2次線を2t分ねじって結合させていた。この写真は21MHz用
18MHz用を作った時試験的にオートトランスにしてみたところ、これが大正解。特性が素直で調整もやりやすく、受信感度も悪くない。100WのFT8を入れてもコアの発熱が少なく、長時間QSOしてもキュリー温度に達することは無かった。
さて、まずはエレメントのホルダーから。2階のバルコニーの手すりに自作で金属製の部品を作り水道管を取り付け、釣竿を差し込んで自立させた。
アルミパイプはこちら。
調整はまず2次側のタップを14tにし、計算で求めた半波長のエレメントを接続し目的周波数あたりにリアクタンスゼロ点があるのを確認する。ひどくズレている場合はエレメント長をラフに調整。次にタップの位置を動かしてSWRが下がる所を選ぶ。タップの位置を変えると共振周波数が動くが、ここでは無視。
疎調整ができたら200pFのバリコンを1次側につないでSWRが最小になる点を探しその容量を測って固定コンデンサに置き替える。1次側(50Ω側)なので100W入れる場合でも1KV程度の耐圧の物で充分(実際は100V以下だが)。後はエレメント長とタップ位置の微調整を行い目的周波数でSWR最低を目指す。設置環境でインピーダンスが大きく変化するので根気よく調整するしかない。
これ位になれば上出来。